転職回数が多いと選考に不利な影響を与えるのではないか、と不安になる方もいるでしょう。実際に「転職が多い=採用しても長続きしなさそう」と、悪い印象を持たれてしまうケースがあります。
一方で、転職の回数よりも個人のスキルやキャリアが重視される時代とも言われています。近年、優秀な人材を確保するため、中途採用に積極的に取り組む企業が増えているためです。
そんな近年において、転職経験をどのようにアピールすれば、人事担当者によい印象を持ってもらえるのでしょうか?
本記事では、転職回数が多い場合の職務経歴書の書き方について解説します。
採用担当者が職務経歴書から知りたいこと
最初に、職務経歴書を書く上でヒントとなる、採用担当者が職務経歴書から知りたい3つのポイントを見ていきましょう。
求めるスキル・経験を持っているかどうか
1つ目は、採用担当者が最も知りたいポイントです。
転職希望者が、自社が求めるスキル・経験を持っているかどうかです。求める内容と合っていないと、自社に貢献してもらえるかどうかのイメージがつきません。
転職回数が多いと、アピールしたいスキルも多くなる傾向にあります。しかし、こと職務経歴書においては、求められるスキルに重点をおいてアピールすることが大切です。そうすることで、採用担当者は企業とあなたのマッチ度を判断しやすくなります。
実績・成果
2つ目は、具体的な実績・成果についてです。
売上実績や指導していた部下の人数など、具体的な数値を示すことで、実績・成果に説得力を持たせることができます。
また、採用担当者は、成果から転職希望者の仕事に対する姿勢や熱意も汲みとろうとしています。よって、その成果を上げるためにどのような取り組みを行ったかを書くことで、転職希望者が努力してきたことが伝わりやすくなるでしょう。
転職理由
3つ目は、転職理由です。特に転職回数が多い場合には、より一層注目されるポイントとなるでしょう。
なぜなら、転職の回数が多いと「業務や環境に適応する能力が低いのではないか」「長続きせずにまた会社を辞めてしまうのではないか」など、採用担当者の不安材料になるためです。それを払拭するためにも、前職を退職した理由を曖昧にしないことが大切です。
転職の理由の書き方のコツについては、次の章でご紹介していきます。
転職回数の多い人が職務経歴書を書く際のポイント
転職回数の多い人が職務経歴書を書く際に意識してほしいポイントを7つピックアップしました。ポイントをおさえ、転職の経験が企業にとって戦力になることが伝わるようにしましょう。
①職歴に一貫性を持たせる
転職の回数が多い人は、今までの職歴に一貫性を持たせることが最も大切なポイントです。なぜなら、採用担当者は、転職回数が多い理由のひとつに、自身の仕事に対する軸やポリシーがないからではないかと考えるためです。
「アパレルスタッフ」⇒「営業職」⇒「フィットネスインストラクター」という職歴を例に挙げてみましょう。
まず、顧客との信頼関係が成果に繋がるという点が共通しています。その関係を作るために、「顧客がどうしたら満足するかを第一に仕事に取り組んできた」という仕事へのこだわりが見えてきます。これがまさに、一貫性を持たせることなのです。
このように職種・業種がバラバラでも、仕事の内容を掘り下げて共通点を見つけることで、自分の強みを明確にすることができます。
それらをしっかりとアピールできれば、採用担当者の抱く「採用してもすぐに辞めてしまうのでは?」という不安な気持ちを拭え、転職した経験を強みとして捉えてもらえるでしょう。
②職歴は業務内容別に書く
職務経歴書の書き方は、時系列で経歴を並べる「編年式」と、業務内容別に職歴をまとめる「キャリア式」があります。
転職回数が多く、記載する内容が多い場合には、「キャリア式」で職務経歴書を作成するのがおすすめです。
それは、企業にアピールしたい経験・スキル・実績を分かりやすく整理して記載できるためです。
また、職歴に一貫した自分の強みや転職に至る背景などもキャリア式の方が伝わりやすくなるでしょう。
③転職によってステップアップしたことをアピールする
転職によりスキルアップしたことをアピールしましょう。そうすることにより、転職した経験を武器にすることができるためです。
例えば、「前職で身につけたことをベースに、転職先でどんなことにチャレンジしたのか」など、転職によってステップアップした内容を具体的に伝えるようにしましょう。
④転職の理由をポジティブに表現する
転職理由は、ポジティブに表現することがポイントです。
採用担当者が職務経歴書から知りたい一つに挙げられる「どのような理由で転職に至ったのか」を伝えれば、転職回数が多い場合でもその経験の豊富さが武器となるためです。
例えば、「さらなる専門的なスキルを身につけるため」「さらに幅広い分野でのコミュニケーション能力を養うため」など転職の理由をポジティブに表現することがポイントです。
さらに、「次の職場でこのように貢献したい」といった志望動機に繋げると、転職経験があなたのキャリアの糧になっていることを印象付けられるでしょう。
⑤自分のキャリアが企業にどう貢献できるかを明記する
企業の採用担当者は、あなたを採用することでどんなメリットが生まれるかということを考えます。ですので、今まで培ってきた経験やスキルを応募先企業でどのように活かしていきたいのかを具体的に明記するようにしましょう。
そうすることで、採用担当者は、あなたが入社後に活躍する姿を想像しやすくなるのです。
また、自分が企業にどう貢献できるかを考えることは、求められるスキルと自身の強みのすり合わせにもつながります。
⑥経歴を省略しない
転職回数が多いと職務経歴書に書く内容も多くなるため、一部を省略したいと考える方もいるでしょう。 しかし、経歴は省略せずに全て記載してください。
なぜなら省略した場合、経歴詐称の不法行為に当たる可能性があるためです。採用後にそれが発覚した場合、内定取り消しや解雇になる可能性も否定できません。
そのようなトラブルを起こさないよう、必ず全ての経歴を記載しましょう。
⑦枚数は多くても3枚以内にまとめる
長すぎる職務経歴書は、採用担当者に負担をかけたり、読む気を失わせてしまったりする可能性があります。そのため、多くても3枚以内に収めるようにしましょう。
【サンプル】転職回数が多い場合の職務経歴書の書き方
前章のポイントを踏まえて作成した職務経歴書の例文を用いて、職務経歴書の書き方を簡単に解説します。
自身で作成した場合、どんな内容になるかをイメージしながらご覧ください。
職務経歴書 20XX年X月X日 氏名 書き方①職務経歴を簡潔に5~6行以内にまとめる 【職務要約】 営業・営業企画として●年間経験を積んだ後、事業企画として事業課題にかかわるデータ分析・課題設定から事業計画の立案、推進までの全般に●年間携わってまいりました。特に現職の5ヵ年計画の立案では、プランの策定から遂行まで、仮説検証型のビジネス手法によって業務改革目標の達成に成功しております。20xx年、課長に昇進してからは、社内で対応する全プロジェクトの統括と並行し、メンバー15名のマネジメントにも携わっております。 書き方②業務内容ごとに、アピールしたい経験を書く 【職務経歴詳細】 <事業企画の設定に関する業務> 短期、中期目標の設定、および達成に向けた戦略の企画・立案 ・事業企画の策定、売上・利益目標の設定 ・事業部門(全国8支店、20営業所)への予算・目標配分 ・組織体制の調整 ・営業戦略立案、情報提供 <マネジメントに関する業務> 課長として、メンバー15名のマネジメント業務 ・業務進捗に関するマネジメント(進捗率・達成率から進捗を管理、個別メンバーのサポート) ・メンバーの目標管理、評価基準の設定 ・人材育成マネジメント(1on1の導入・実施。適性の判断と、適切なポジション・業務を検討) <営業・営業企画に関する業務> 消費財・IT広告の提案営業 ・流通・小売チェーンに向けた提案営業 ・法人顧客に向けた提案営業 ・webマーケティング 書き方③応募職種に対してアピールできる実績を具体的な数字を用いて書く <事業計画の設定における主な実績> ・生産性向上プロジェクト(営業系) 業務効率改善ツールの導入提案により、1年間で30%のコスト削減を達成 ・既存事業の見直しプロジェクト(業務システムの見直し、改善) インターネット販売事業において提案プランと受注方法の見直しを検討 業務フローの安定化および新たな業務ツールの導入、オペレーション構築で、1年間で30%のコスト削減を達成 ・5ヵ年計画プロジェクトの立案に向けた、経営ボードの運営/長期経営計画の立案 資本政策(株主間の利害相反を緩和するための、ベストポジション戦略策定)の実施 書き方④応募した職種に生かせる経験・スキルを書く 【活かせる経験・知識・技術】 ・事業企画業務全般 (データ分析による、仮説検証~事業計画~実行計画立案~プロジェクト企画、推進) ・メンバーおよび業務マネジメント、プロジェクトマネジメント、人材育成マネジメント ・プレゼンテーションスキル ・マーケティングスキル ・PCスキル(Word、Excel、PowerPoint、Access) 書き方⑤保有資格を書く 【保有資格】 ・TOEIC 800点(20xx年xx月) 書き方⑥転職理由・志望動機に触れ、応募先企業でどのように貢献したいのかを書く 【自己PR】 3社での有形・無形商材の法人営業経験と営業企画の経験を積み、企画・マーケティングスキルや分析能力を組織全体の事業企画にて活かしたいと考え、現職の事業企画部門に入社しております。 20xx年xx月、株式会社●●●●に入社し、事業企画部門に参画しました。短・中期から長期までの全ての事業計画において、主にデータ分析による実行計画の立案から推進まで計画全般に携わってまいりました。外部コンサルティング会社と連携して実施したプロジェクトでは、大幅な業務効率化・コスト削減(現状から約30%削減)・新手法の構築を実現することができました。また、内部管理制度の見直しを徹底し、企業独自の問題点の発見および課題解決にも貢献してきました。 20xx年xx月以降、課長に昇進してからは、メンバーのマネジメントやプロジェクトの全体統括を任されるほか、5ヵ年計画の見直し、並びに新5ヵ年計画の立案、事業部長会での目標設定・営業戦略の設定にも従事し、積極的に経営の改善に取り組んできました。 これまで培ってきたスキル・経験を活かし、●●業界のみならず、●●業界にも挑戦したいと考えております。●●業界にて新規事業を展開されている貴社にて、事業計画の策定・推進に携わり、貢献してまいりたいと考えております。 書き方⑦在籍していた企業を年代別に並べ、在籍期間、事業規模、在籍中の職務を書く 【職務経歴】 株式会社●●●●(20xx年x月~20xx年x月) 【事業内容】消費財製造販売事業(□□□上場) 【資本金】□□□万円 【売上高】□□□円(20xx年度) 【従業員数】□□□名 ・20xx年x月~20xx年x月 営業本部 第1グループ 約●年間、消費財の法人向け営業を経験。無形商材の営業職に挑戦したいと考え、2社目に転職。 株式会社●●●●(20xx年x月~20xx年x月) 【事業内容】IT広告代理店事業 【資本金】□□□万円 【売上高】□□□円(20xx年度) 【従業員数】□□□名 ・20xx年x月~20xx年x月 営業部 ・20xx年x月~20xx年x月 営業本部企画課 IT広告の法人案営業を約●年間経験。営業企画の業務にも関わる中、個客ごとの企画提案より、より大規模な企画に携わりたいと考え、営業企画職として3社目に転職。 株式会社●●●●(20xx年x月~20xx年x月) 【事業内容】IT広告代理店事業(□□□上場) 【資本金】□□□万円 【売上高】□□□円(20xx年度) 【従業員数】□□□名 ・20xx年x月~20xx年x月 経営本部 営業企画室 主任 営業企画を約●年間経験。企画・マーケティングスキルや分析能力を、組織全体の経営企画に活かしたいと考え、4社目に転職。 株式会社●●●●(20xx年x月~20xx年x月) 【事業内容】クラウドシステム販売事業 【資本金】□□□万円 【売上高】□□□円(20xx年度) 【従業員数】□□□名 ・20xx年x月~20xx年x月 経営統括部事業企画課 主任 ・20xx年x月~現在 経営統括部事業企画課・課長 以上 |
引用元:https://directscout.recruit.co.jp/contents/article/4459/
見本入りテンプレートのダウンロードはこちらから:
https://directscout.recruit.co.jp/contents/wp-content/uploads/2020/11/shok
転職回数が多い人の自己PRの例文
最後に、転職回数が多い人の自己PRの例文をご紹介します。
自己PR欄は、転職経験の多さをポジティブに伝えられるように書くことが大切です。そのポイントを例文内に赤字で記しています。自己PRを書く際の参考にしましょう。
自己PRの構成や書き方について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
関連記事:「思いつかない人必見!職務経歴書の自己PRが書けるようになる方法を徹底解説」
ポイント①一貫性を持たせることを意識して、経歴を紹介する 新卒で店舗販売職を経験後、法人営業を2社、個人営業を1社経験しました。私がこれまで選んできた仕事の軸は「人をサポートする」ことです。顧客の悩みを引き出し、解決するスキルをこれまで磨いてきました。 ポイント②どのようなプロセスを踏んで成果に繋げたのかを具体的に明記し、転職経験をプラスにアピールする 店舗販売職に従事していた際、多様な目的をもつお客様のニーズを正確に引き出すために最も大切なことはヒアリングだと感じました。お客様が何を求めているのか?不安に感じるポイントは何か?本音を伺うことができなければ、最適な提案はできません。このことに気が付き、ヒアリング力・提案力を磨くため、営業職へ転職しました。 お客様とのコミュニケーションを重視した営業手法を続けた結果、常に新規成約率80%以上を維持することができるようになりました。また、個人営業に従事していた際は、社内でも細やかな気遣いや相手の懐に入っていく女性営業の良さを活かしたスタイルが評価され、入社3年目で女性営業マンチームのリーダーも任されました。その際、チームで毎日振り返りを行うことで、ノウハウを共有し、チームの達成率は対前年比120%となりました。 ポイント③キャリアの軸に基づいて、入社後○○年後にどのような人材になりたいかを詳しく書き、長く働きたい意思を伝える 今後は、お客様のニーズを引き出す対外折衝能力を活かして、顧客をよりサポートできる人材になりたいと考えています。また、前職でチームリーダーを担っていた経験を活かし、5年後はマネージャーとして部署のマネジメントも出来る人材になることを目標といたします。その際は、部下のニーズや悩みに対してもヒアリング・提案をすることで、貴社に貢献してまいりたいと考えております。 |
引用元:https://woman-type.jp/academia/knowhow/self-introduction/times/
まとめ
転職回数が多いことは、時に「長続きしない人」というレッテルを貼られます。しかし裏を返せば、豊富な経験やスキルを持っているとも言えるのです。
転職経験の多さを武器にするには、企業が納得できる転職理由、自身のキャリアの軸や強み、入社後に貢献できることを明確に伝えることが大切です。
ぜひ、本記事を参考にレイアウトや内容を工夫して、採用担当者が「会って話を聞いてみたい」と思うような職務経歴書を作成してみてください。