オンラインを活用した就職・転職活動が一般的になった現在では、応募先から履歴書をPDFデータで提出するように指示される機会も増えました。
ところが、履歴書データをPDF化する方法が分からずに困ってしまう方もいるようです。
そこで今回の記事では、履歴書のPDF化の方法と、履歴書データを企業に送る際に守るべきマナーについて説明します。
企業がPDF化した履歴書の提出を求める理由
企業がPDF化した履歴書の提出を求める理由には、以下のようなものがあります。
履歴書を管理しやすいため
提出される履歴書がPDFデータに統一されていれば、企業はデータを容易に管理できます。
統一されていないファイル形式のデータは、管理しにくいものです。
そのため、バラバラのファイル形式の履歴書は、企業側で何らかのファイル形式に統一する作業を行わなければいけません。
そこで、応募者に履歴書をPDFファイルで提出してもらうことで、企業は効率よく履歴書データを扱えるのです。
また、受け取ったPDFデータに応募者名を入力すれば、検索機能を活用して必要な時にすぐに履歴書データを見つけられます。
読みやすいため
PDFデータは、文章が読みやすいというメリットがあります。
例えば、WordやGoogleドキュメントで作成した文章は、内容によって一部分に波線や下線などが自動的に付いてしまいますが、PDFデータの文章ではそのような問題は起こりません。
さらにPDFデータは、どのような作業環境下でファイルを開いても、正しく表示されないような問題も起こりません。
もちろんパソコンのみでなく、スマホやタブレットなどでも同じことがいえるでしょう。
編集されるリスクを防ぐため
PDFデータは作成後に内容を編集できません。
履歴書は入社後も保管される重要な書類であるため、提出後に改ざんされるような問題が起こってはいけません。
手書きの履歴書を改ざん可能な鉛筆で記載してはいけないのと同じように、履歴書は改ざんできないファイル形式で提出する必要があるのです。
しかし、WordやExcelなどのファイルで保存された履歴書は編集可能なことから、応募者以外が内容を編集するリスクが潜んでいます。
さらに意図的でない場合でも、採用担当者の誤操作により文章の一部を削除してしまう可能性があります。
このようなリスクを防ぐためにも、履歴書のPDF化は効果的といえるでしょう。
履歴書をPDF化する方法
次に、履歴書データをPDF化する方法を具体的に説明します。
さまざまな方法があるので、自身が活用しやすい方法を選択しましょう。
方法①パソコンで作成した履歴書の場合
ExcelやWordで作成した履歴書は、ソフト上でPDF化できます。
ここでは2通りの方法を説明します。
ファイルを保存する際にPDFに変換する
1.Wordファイルを開いた画面の左上にある「ファイル」を選択する
2.クリック後に表示される左側のバーの「名前を付けて保存」をクリックする
3.表示された画面で保存先を指定する
4.データの内容が分かりやすいファイル名を入力する
5.ファイルの種類を「PDF(.pdf)」で指定して「保存」を押す
エクスポート機能でPDFに変換する
1.ファイルを開いた画面の左上にある「ファイル」を選択する
2.クリック後に表示される左側のバーの「エクスポート」をクリックする
3.「PDF/XPSの作成」を選択する
4.表示された画面で保存先を指定する
5.データの内容が分かりやすいファイル名を入力し、「発行」を押す
方法②手書きの履歴書はスキャンする
パソコンではなく手書きで履歴書を作成した場合には、完成済みの履歴書をスキャンしてPDFデータに変換します。
自宅にスキャナがない方は、コンビニや印刷専門店、ネットカフェなどのスキャンサービスを活用してください。
スキャンサービスは店舗により扱いがない可能性もあるため、事前に問い合わせておきましょう。
履歴書をスキャンする際に指定する解像度は、400dpi程度を目安にしてください。
それは、証明写真の画質が悪くならないようにするためです。
また、400dpiより高い解像度に設定すると、ファイルサイズが大きくなり過ぎてしまうため、注意が必要です。
履歴書をスキャンできたら、読みにくい文字がないか・証明写真が鮮明かを必ず確認しましょう。
方法③スマホのアプリを利用する
PDFデータでの履歴書提出が一般的になった今では、無料のスマホアプリで履歴書の作成からPDF化まで可能なサービスも増えました。
スマホアプリを活用した履歴書作成とデータ提出は、パソコンがない方や履歴書提出までに時間の余裕がない方におすすめです。
多くの履歴書作成スマホアプリは、提示された質問に答えていく流れで履歴書が作成でき、同じアプリで証明写真まで撮影可能な場合もあります。
スマホを活用した履歴書作成についてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
履歴書をPDF化する際のポイント
履歴書をPDF化する際には、以下のポイントを意識してください。
誤字脱字のチェックを行う
履歴書をPDF化する際には、履歴書に誤字脱字がないかを十分確認してください。
誤字脱字がある履歴書は、採用担当者に「注意力が不足している人材なのでは?」「応募に対する意欲が低いのでは?」などの誤解を招く可能性があります。
パソコンで履歴書を作成した場合には、WordやGoogleドキュメントなどの誤字脱字チェック機能を活用して、事前に誤字脱字を確認した上でPDF化を行うとよいでしょう。
また、手書きの履歴書をPDF化して提出する場合には、文字の丁寧さも確認されます。
文字の上手さよりも、時間をかけて丁寧に文字を書いているかどうかが重要だと考えてください。
限られた時間で雑に書いたような履歴書は、文字自体が美しいとしても採用担当者に悪い印象を与えます。
履歴書は、時間をかけて丁寧かつ間違いがない仕上がりにすることが重要です。
履歴書のサイズは見開きA3サイズに設定する
履歴書はPDFデータで提出する時でも、見開きA3サイズに設定しましょう。
見開きA3サイズの履歴書は、二つ折りでA4サイズになるため、ビジネスシーンで扱うその他の書類と同じ大きさになります。
そのため、他の書類とのサイズが揃い、応募先で書類整理がしやすくなるのです。
手書きの履歴書を紙で提出する時は、見開きB4/二つ折りB5サイズを選んでもよいですが、データ提出の場合は見開きA3/二つ折りA4サイズを選択してください。
証明写真の画質に気をつける
履歴書の証明写真は画質に気をつけましょう。
それは画質が悪いと、採用担当者に与える第一印象が悪くなる可能性があるためです。
書類選考の段階では、履歴書が与える印象が自分の印象そのものであると考えてください。
証明写真は、ぼやけて見えたり応募者の顔が不鮮明な状態であったりしてはいけません。
誤字脱字のチェックと同じように、証明写真の写りまで細かく確認する姿勢が大切です。
履歴書に添付する証明写真は、縦と横の比率が4:3で設定されています。
PDF化した際に画質を落とさないためには、800px×600px程度の画像サイズを意識するとよいでしょう。
履歴書に証明写真データを添付する方法が分からないという方は、こちらの記事を参考にしてください。
PDF化した履歴書を送る際のマナー
履歴書を郵送する時には、正しく宛名を記載する・送付状をつけるなどのマナーを守らなければいけません。
同様に、PDF化した履歴書を提出する際にも守るべきマナーがあります。
ここでは、履歴書データを送信する際のマナーについてまとめました。
マナー①添付ファイルのサイズは2MB以下にする
受信可能なメールの容量は企業により異なることから、履歴書提出時の添付ファイルは2MB以下に抑えてください。
容量が大き過ぎるメールを送ると、応募先で受信できないまたは管理時に扱いにくくなる恐れがあります。
また、ExcelやWordデータを提出する必要がある場合には、提出データはまとめてZIPで圧縮しましょう。
それは、ファイルの中身が文字化けしてしまう可能性が考えられるためです。
また、複数の応募書類を提出する必要がある場合でも、ZIPデータであればデータを1つにまとめられます。
【ZIPデータの作成方法】
1. 送信するファイルを一つのフォルダに集める
2. フォルダを選択して右クリックを押し「送る」を選ぶ
3. 「圧縮」をクリックする
※Macの場合は「送る」ではなく「圧縮」を選択する
マナー②ファイルにパスワードを設定する
履歴書には多くの個人データが含まれているため、ファイルにパスワードを設定しましょう。
セキュリティ対策を施さずに履歴書データを送付すれば、応募先に「情報セキュリティ意識が低い」と考えられてしまう恐れがあります。
またパスワードを通知するメールは、履歴書のデータファイルを添付するメールと別に送りましょう。
ファイルにパスワードを設定する方法については、以下を参考にしてください。
Adobe Acrobatを利用する場合 (Mac・Windows対応)
1.Adobe Acrobatを開く
2.パスワードを設定するPDFファイルを開く
3.「セキュリティ」ダイアルボックスから「セキュリティ」タブをクリックする
4.セキュリティタブでセキュリティメソッドとして「パスワードの設定」を選ぶ
5.「権限のパスワード設定」・「開くパスワード設定」のどちらかまたは両方のパスワードを設定する
Wordを利用する場合(Mac・Windows対応)
1.「ファイル」を選択して「名前を付けて保存をクリックする」
2.ファイルの種類で「PDF(*.pdf)」を選択する
3.「その他のオプション」を選択し「オプション」を選ぶ
4.「ドキュメントをパスワードで暗号化する」にチェックを入れた上で「OK」を押す
5.「パスワード」と「パスワードの再入力」欄に任意のパスワードを入力して「OK」を選択する
Macのプレビュー機能を利用する場合(Macのみ対応)
1. 送信するファイルをプレビューで開く
2. 画面左上にある「ファイル」をクリックする
3. 表示されたメニューから「書き出す」を選ぶ
4. 開いた画面で「アクセス権」をクリックする
5. 表示された画面で「書類を開くときにパスワードを要求」にチェックを入れる
6. 任意のパスワードを設定して「適用」をクリックしてから「保存」する
マナー③分かりやすいファイル名をつける
応募先には何人もの応募者から履歴書が届きます。
そのため、応募書類提出時の添付データのファイル名は、ファイルを開かなくても内容が分かるようにしてください。
例えば「メール提出年月日_応募者氏名」のようなファイル名なら、企業は受け取った後の履歴書データを扱いやすくなるでしょう。
応募先でのデータの管理まで配慮ができる応募者は、採用担当者によい印象を与えます。
マナー④簡潔で分かりやすい件名にする
応募書類提出時には、メールを開かなくても内容が理解できるメールの件名をつけるべきです。
メールの中身が推測しやすいメールの件名をつけることは、ビジネスメールのマナーでもあります。
「履歴書送付の件/応募者氏名」「〇〇職応募の件:応募者氏名」などの件名であれば、メールを受け取った相手はすぐにメールの内容を推測できるのみでなく、必要なタイミングで簡単にメールを検索できます。
マナー⑤本文の冒頭で添付ファイルについて伝える
応募書類を添付ファイルで提出する際には、メール本文の冒頭で添付ファイルについて伝えてください。
業務に追われる中で多くのメールを確認している担当者は、メールをじっくり読み込む時間がなく、添付ファイルに気がつけないことがあります。
「履歴書を添付いたします」「応募書類を添付いたします」という一文があれば、添付ファイルが見落とされるリスクを抑えられるでしょう。
履歴書を送付するメールの例文集
応募時のメールは、簡潔で分かりやすいことが大切です。
応募の熱意を伝えたいとしても、長々とした自己紹介や自己PRをメール本文に書くことは避けましょう。
履歴書を送付する際のメールは、以下の例文を参考にしてください。
ファイルを添付したメールの例文
件名
履歴書送付の件:自分の氏名
メール本文
株式会社〇〇
採用ご担当者様
はじめまして。私は(自分の氏名)と申します。
貴社の求人情報を拝見し、応募させていただきたく、ご連絡を差し上げました。
添付ファイルにて、履歴書を添付いたします。
履歴書にはパスワードを設定しております。
後ほど、パスワードをお伝えするメールを送付しますので、併せてご確認お願いいたします。
ご多忙なところ恐れ入りますが、ご検討の上、面接の機会をいただけましたら幸いです。
何卒よろしくお願い申し上げます。
==================
自分の氏名
郵便番号
住所
電話番号
メールアドレス
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応募先へのメールでは、(株)などの略称は使用せずに正式名称で企業名や部署名を記入します。
採用担当者が分かる場合は、「採用ご担当者様」ではなく担当者名を入力してください。
また、メールの最後には自分の連絡先を明らかにする署名をつけます。本文との区切りを明確にするために「=」や「-」などの企業を使うとよいでしょう。
パスワードを通知するメールの例文
応募書類を開くためのパスワードを通知するメールでは、次のような例文が有効です。
件名
履歴書パスワードのお知らせ:自分の氏名
本文
お世話になっております。先ほど履歴書を送付いたしました(自分の氏名)です。
履歴書のパスワードをお伝えいたします。
パスワード:1234567
お手数おかけしますが、ご確認のほどお願いいたします。
何卒よろしくお願い申し上げます。
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自分の氏名
郵便番号
住所
電話番号
メールアドレス
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まとめ
履歴書のPDFデータ提出を求める企業が増えています。
いざという時に慌てずに対応できるように、事前に履歴書をPDF化する方法を知っておくとよいでしょう。
キャリレコのようなサービスを活用すれば、スマホを活用して簡単に履歴書の作成からPDF化まで効率よく進められます。
自分で履歴書のテンプレートを用意したり文字サイズを調整したりする手間がかかりません。
また、PDF化した履歴書を提出する際のマナーも確認して、必ず守るようにしましょう。