多くの企業は書類選考を行い、応募書類をもとに応募者を絞った上で面接の機会を設けています。
転職活動での書類選考の通過率は、30〜50%であると言われており、転職希望者の半数以上は書類選考で落ちてしまう可能性があるのです。
特に、書類選考をパスできない状態が続いている方は、自分の履歴書を見直すことをおすすめします。
今回の記事では、転職活動で書類選考が通らないと悩んでいる方に向けて、考えられる理由と必要な対応についてまとめました。
転職の書類選考でチェックされるポイント
転職活動の書類選考では、次のようなポイントがチェックされます。
①基本情報は正しく記載されているか
生年月日や住所など、基本情報を正しく記載することは履歴書作成のルールです。
そのため、誤字脱字や記入漏れがある履歴書は、採用担当者に与える印象が悪くなってしまうでしょう。
また、履歴書の基本情報は人間性が表れやすい部分でもあります。
簡単に書ける項目だからと言って手を抜いてはいけません。
記入漏れが起こりやすいフリガナや郵便番号も、正しく書いてください。
②求める経験・スキルがあるか
大半の企業は即戦力を必要としており、中途採用の応募者に一定の経験やスキルを求めます。
経験やスキルのミスマッチは、応募者の実際の経験やスキルが応募先の求めるレベルに達していない場合か、応募者の経験やスキルを履歴書で十分アピールできていない場合かのどちらかで起こります。
応募条件は満たしている状態で書類選考が通らないという方は、後者の可能性が高いことを知っておいてください。
応募先の企業が「どのような経験・スキルがある人材を求めているのか」を考えた上で、自分の経験・スキルを見直してみると、不足しているポイントに気が付きやすくなるでしょう。
どのような表現をすれば自分の経験・スキルが伝わるかを、客観的に見てみることが大切です。
③自社の社風とマッチするか
企業にはそれぞれ異なる社風があり、自社の社風にマッチする人材を採用したいと考えています。
なぜなら、社風に合わない社員は早く退職してしまう可能性があるためです。
志望動機や自己PRから感じられる応募者の人柄は、採用に大きな影響を与えると考えてください。
応募先の企業が求めている人物像も含めて、応募先の社風を調べておくとよいでしょう。
④長く働いてくれるか
企業はコストをかけて採用活動・採用後の社員への教育を行うため、採用した社員の早期退職は避けたいと考えています。
採用担当者は応募者の転職回数や志望動機を見ながら、「応募者は自社で長く働いてくれそうか」確認しているのです。
特に転職回数が多い・1社の在籍期間が短い方は、他の応募者と比較して不利になる可能性があります。
ただし、経歴詐称に該当する転職回数の変更や、企業への在籍期間の調整をしてはいけません。
⑤ビジネスマナーがあるか
ビジネスマナーがない応募者は、採用後の業務でもマナー違反をする可能性があります。
そのため、採用担当者は重要な応募書類である履歴書を通して、応募者がビジネスマナーを守れる人材であるか知りたいと考えています。
具体的には、誤字脱字の有無・修正液を使用していないか・読む相手のことを考えた文章が作れているかなど、さまざまな要素がチェックされていると考えてください。
自分で想定しているよりも、履歴書には自分のマナーや性格が出ることを意識しましょう。
転職の書類選考に落ちる理由
この章では、転職の書類選考に落ちる理由について詳しくまとめました。
自分が作成した履歴書に、次のような問題がないか確認してみてください。
理由①応募書類に不備がある
不備がある応募書類を応募先に提出してしまうと、書類選考で落ちる可能性が高くなります。
例えば、募集要項で履歴書のフォーマットやサイズを指定しているのに守られていない・履歴書の項目に書き忘れがあるなどの問題があれば、慎重性に欠ける人だと判断されてしまうでしょう。
複数の応募先に応募する場合でも、それぞれの応募先の指示を細かく確認して、応募書類に不備がないように注意してください。
理由②応募条件を満たしていない
中途採用に対して、一定の応募条件を設定する企業は多いです。
「〇〇資格保有者」など具体的な応募条件が提示されている場合、その条件を満たしていない応募者は基本的に選考対象外になります。
ただし、応募条件は満たしていないものの代わりの経験やスキルを持っている方は、選考対象に残ることもあります。
とはいえ、応募条件を満たさない状態での採用可能性は非常に低いと考えてください。
自分が選考対象になるのかどうか知りたいという方は、事前に応募先に問い合わせてみてもよいでしょう。
理由③求める経験・スキルを満たしていない
企業の中には、応募条件の他に一定の経験やスキルを提示している場合があります。
企業が求める経験・スキルは応募条件と同じように、他のポイントでカバーできることもありますが、譲れない最低条件として設定されているケースも多いです。
応募条件・求められる経験・スキルを満たしていない場合は、書類選考で落ちる可能性が高いと考えておいた方がよいでしょう。
理由④求める人物像ではない
企業は求人募集を出す時に、求める人物像を設定しています。
そのため、応募者の学歴や職歴が素晴らしいものであったとしても、「自社が求める人物像とかけ離れている」という理由で書類選考を通さない可能性があるのです。
例えば、個性的な人材を求める企業の応募に「私は協調性があります」とアピールすると、書類選考で落ちる可能性は高いでしょう。
企業が求める人物像は、応募要項や応募先の企業を研究することで推測できるため、必ず企業研究を行いましょう。
理由⑤希望条件が合わない
応募条件を満たしている応募者でも、職種・勤務先・年収・役職などの条件が合わない場合は、書類選考で落ちる可能性が高いでしょう。
しかし、理想的な転職を成功させるためには、譲れない条件があるのはやむを得ません。
一方、希望の条件を変えても応募先で働きたいと考えている場合には、本人希望欄には条件を記入せず「貴社の規定に従います」または「貴社規定に準じます」と書けばよいでしょう。
理由⑥入社への熱意が伝わらない
求人や応募先によって倍率は異なるものの、さまざまな応募者が自分をアピールするための応募書類を提出しています。
そのため、入社の熱意が伝わりにくい履歴書は、書類選考の段階で落とされてしまう可能性があります。
ただ自分の経験やスキルを書くだけではなく、「なぜ自分が応募先で働きたいと思ったのか」「採用後に自分は何ができるのか」などの点で、具体的にアピールできるとよいでしょう。
理由⑦他の応募者と比較して劣る
最終的な採用者の数は決まっています。
同じように応募条件を満たしている応募者の中でも、自分よりも経験やスキルが豊富な応募者・熱意がこもったアピールができている応募者がいれば、他の応募者が優先して採用されてしまうものです。
上には上がいるという事実も知っておきましょう。
書類選考で落ちないための書き方
応募をしても書類選考で落ちてしまうことが多いという方は、次のような書き方を意識して履歴書を作りましょう。
①書類作成のマナーを守る
履歴書作成時のマナーを守ることは、まず優先するべきポイントです。
代表的な履歴書のマナー違反は、以下を参考にしてください。
・履歴書で修正液や修正テープを使っている
・企業名や学校名に略称を使っている
・黒ボールペン以外で履歴書を書いている
・履歴書に誤字脱字が多い
・履歴書や封筒が折れている・汚れている
・履歴書に証明写真を貼っていない
履歴書作成のマナーが守れていない応募者は、採用後もビジネスマナー違反をする可能性が高いと考えられてしまうでしょう。
履歴書を作る時に守るべきマナーは事前に把握し、必ず徹底できるようにしてください。
②企業のニーズに合わせてカスタマイズする
履歴書作成時には、企業のニーズを研究して内容を考えてください。
企業が求める人物像・応募先の社風などを把握すれば、自分がアピールするべきポイントが見えてくるでしょう。
同じ業種や業界であっても履歴書の内容は応募先によって異なるものだと考え、応募先ごとに履歴書をカスタマイズすることが大切です。
ただし、自分を偽るような方法でアピールをすると、採用後に働きにくさを感じる恐れがあります。
③自己PR・志望動機は具体的に書く
自己PRや志望動機は事実を用いて具体的な表現をしてください。
例えば、「私は協調性がある人間です。」と書かれても、理由がなければ採用担当者を納得させることはできません。
「私は協調性があり、前職では常にチームのメンバーが求めていることを考えながら仕事をしていました。その結果、入社後1年にはチームリーダーを任され、5人のメンバーをマネジメントしました。」という文章の方が、具体的にどのような場面でその特性が活かされていたのかが分かりやすくなります。
志望動機についても同様に、実際のエピソードを踏まえた説明ができるとよいでしょう。
④読みやすく書く
読む相手のことを考えた文章が作れる人材は、入社後も活躍しやすいものです。
どう表現すれば相手に伝わりやすいかを考えた構成・書き方を意識できている履歴書は、採用担当者からよい評価を得られるでしょう。
具体的には、丁寧な文字を書く・箇条書きや【】などを活用する・専門用語を使用しないなどの方法で、読みやすい文章が書けるようにしてください。
履歴書のみでなく、職務経歴書についても読みやすさを意識しましょう。
特に職務経歴書は、文章量が多く様式が自由であるため、テンプレートなどを活用しながら読みやすいレイアウトを考える必要があります。
具体的には、最初に職務経歴書の概要を記載して、全体像を把握しやすくしましょう。
強調するべきポイントである自己PRは、自己PR欄を最後に設けると、入社に向けての意気込みが伝わりやすくなります。
転職の書類選考に関するQ&A
最後に、転職活動の書類選考に関するよくある質問と答えをまとめました。
Q1 転職回数が多いと書類選考で落ちやすい?
企業は早期退職の可能性がある人材よりも、長く働いてくれる人材を採用したいと考えています。
そのため、転職回数が多い社員は早期退職リスクが高いと考えられる可能性があるでしょう。
転職回数が多い方は、これまでの経験から応募先で活かせるものを見つけてアピールしたり、職務経歴書を使用して履歴書の職歴欄は簡潔にまとめるなどの工夫をしたりすることをおすすめします。
詳しくは、次の関連記事を参考にしてください。
関連記事:【転職回数が多い人向け】職務経歴書の書き方:転職経験をプラスに伝えるポイントを解説
Q2 書類選考で落ちた時のショックはどうすればいい?
書類選考が通過しなかった時に、自分自身が否定されたと感じて落ち込んでしまう方もいます。
しかし、企業は経験やスキルのみで採用を決めているのではなく、自社にマッチできる人材かどうかという点も重要視しています。
そのため、書類選考で落ちた時には「他に自分にマッチする企業がある」と考えるとよいでしょう。
同時に応募書類を見直し、次の応募ではさらに質が高い履歴書を作れるようにしてください。
Q3 書類選考で落ちた理由を企業に聞いてもいい?
書類選考で落ちた理由を企業に聞くことはおすすめできません。
それは、本当の理由を聞き出せる可能性は少なく、当たり障りのない返答しかもらえない可能性が高いためです。
どうしてもその理由を知りたいという方は、転職エージェントなどプロのコンサルタントに相談してみるとよいでしょう。
Q4 不採用通知のメールに返信は必要?
現在では、郵送ではなくメールで書類選考の不採用通知を送る企業が増えました。
基本的には、書類選考の不採用通知に返信する必要はありません。
メールを送っている採用担当者も、返信はこないものだと考えている方が多いでしょう。
まとめ
転職活動で書類選考を通過できないと悩んでいる方は、自分の履歴書や職務経歴書を見直してみてください。
応募書類の内容を見て問題があれば、すぐに修正して理想的な履歴書を作れるようになりましょう。
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質問事項に答えていくだけで履歴書が完成するため、履歴書作成に苦手意識がある方におすすめです。
採用担当者の心に残る履歴書を作成して、書類選考通過を目指しましょう。