履歴書には自分の学歴や経歴などの事実を偽りなく記載しますが、志望動機の欄はその他の項目とは違い、自分の思いを言葉にして採用担当者に入社を希望する理由を伝えなくてはいけません。
履歴書の中でも数少ない自己PRが許されたスペースであり、書類選考時には志望動機が結果を左右することもあるでしょう。
この記事では、履歴書の志望動機の書き方とポイントや、避けるべき志望動機を紹介します。これから履歴書を作成しようと考えているのなら、ぜひ参考にしてください。
志望動機欄の基本の書き方
まずは履歴書の志望動機の基本的な書き方を説明しましょう。基本を理解した上で志望動機を考えてください。
志望動機に最適な文字数
志望動機欄は履歴書の種類によって用意された欄のサイズが変わりますが、文字を小さくして多くの文章を書き込まないようにします。採用担当者に「読みにくい」と感じさせるべきではありません。
一般的には200文字〜300文字が志望動機の理想であり、文字が多過ぎたり、少な過ぎたりしないようにしましょう。
志望動機を構成する要素
志望動機に含めるべき要素は次の5つです。
①志望の理由
②具体的エピソード
③エピソードから得たこと
④自分がやりたいこと・出来ること
⑤なぜその会社を選んだのか
上記の全ての要素を志望動機に含めると内容が詰まり過ぎてしまうため、この要素から3つ以内で選ぶと良いでしょう。
志望動機の書き方のポイント
採用担当者は何十・何百もの履歴書を確認して書類選考を行います。数ある履歴書の中から採用担当者に自分の熱意を伝えるためには、他の応募者にはない魅力的な志望動機が書けなくてはいけません。
ここからは、採用担当者に良い印象を与える志望動機の書き方のポイントを説明しましょう。
ポイント1 志望動機は提出方法によって内容を変える
履歴書の提出と同時に職務経歴書の提出も求められており、職務経歴書の冒頭に志望動機を記載する場合や、志望動機書を提出する際には履歴書の志望動機欄は簡潔な記載にすると良いでしょう。
ポイント2 応募先の魅力点と転職理由を結びつける
数ある企業の中で応募先を選んだ理由を説明するためには、ただ会社の魅力を伝えるのではなく転職理由に結びつけることで、採用担当者が納得する志望動機になります。
例えば「前職では多くの商品企画に携わりやりがいを感じていましたが、ベストセラー商品だけでなく新商品の開発が活発な貴社に魅力を感じています。」のように表現すれば、転職理由・応募先の魅力だけでなく、自分の経験も同時に伝えられるでしょう。
ポイント3 志望動機は可能な限り具体的に書く
文字数に制限があるものの、志望動機は具体的であるほど説得力が増します。「前職では経理部に所属していました」よりも「前職では3年間経理部に所属し〇〇や〇〇の関連の業務を任されていました」の方が読む相手の印象に残ります。
経理関係の求人であれば経理の実務経験がある応募者は多いと予想出来ますが、具体的に担当していた業務名やプロジェクト名が分かることで、どのような経験を積んできたのかが伝わりやすくなります。
ポイント4 一貫性のある内容にする
履歴書の志望動機には多くの内容を盛り込むことが出来ないため、話には一貫性を持たせるべきでしょう。
例えば、コミュニケーション能力の高さをアピールして営業職へ応募するのなら、長所や志望動機を裏付けるエピソードもコミュニケーションに関係のあるものにするべきです。
志望動機の例文
ここからはアレンジしやすい志望動機の例文をパターン別に紹介しましょう。
応募先が未経験の業界・職種の場合
営業では自分の頑張りが数字で表れるところにやりがいを感じていましたが、事務業務でのタスクを正確に行うことが求められる点にもやりがいを感じるようになり、事務職を目指そうと考えました。
貴社の営業と事務が1つのチームとなって仕事を進めるという点に興味を持ち、志望いたしました。事務職は未経験ではありますが、これまでの経験を活かしたいと考えています。
応募先で前職の経験が活かせる場合
企業向けの製品が主な商材でしたが、より身近な一般商材を扱う会社で自社商品に思い入れを持って仕事がしたいと考え、転職を決意しました。貴社の販売している製品〇〇を日頃から愛用しており、貴社であれば思い入れを持って業務に取り組めると感じております。
前職で培った資料作成経験やコミュニケーションスキルを活かして、貴社の成長に貢献していきたいです。
NGの志望動機
履歴書の志望動機に記載するべきではないNG例を紹介しましょう。採用担当者によっては、次のような志望動機にあまり良い印象を持っていないため、注意してください。
「御社の〇〇という理念に共感しました」
よくある志望動機であり、今まで積極的に利用していた方もいるでしょう。実際「共感」自体は悪いことではありませんが、なぜ・どうして共感に至ったのかが読み取れない文章で共感のみを主張すると「ただ共感と書いておけば良いと考えているのだろう」と思われてしまいます。
もしこのようなフレーズを利用したい場合には、共感に至った具体的なエピソードを示すようにしてください。
「学ばせてください」という受け身の姿勢
こちらもよく志望動機に使われることが多い言葉ですが、「学ばせてください」「学ばせていただく」というフレーズからは謙虚さや真摯さよりも受け身の印象を持たれてしまう恐れがあります。
特に転職の場合は、応募者が会社にどう貢献してくれるのかが問われるため、別の言葉を用いた方が良いでしょう。
志望動機が思いつかない場合の対処法
履歴書の志望動機は使い回しが効かない項目であり、複数の企業に応募する場合は志望動機を考えるだけで多くの時間が必要になります。中にはどうしても志望動機が思いつかずに困ってしまうこともあるでしょう。それでも志望動機を空欄にしたり「特になし」と記載したりしてはいけません。
ここからは履歴書の志望動機が思いつかない時の対処法を紹介しましょう。
業界や職種に興味を持った理由を思い出す
自分がなぜその業界・職種に興味を持ち、応募を決めたのかを思い出します。
消去法での選択であったとしても、他の業種や職種よりも魅力を感じる点があるでしょう。「〇〇をきっかけに興味を惹かれ、貴社を志望しました」という書き出しから文章を考えていけば良いのです。
自分が仕事に求める条件を考える
仕事に求める条件は人によって変わります。給与・残業量・仕事内容・立地などが具体的な例であり、仕事選びでは無意識のうちに自分が仕事に求める条件と応募先の募集要項を比較しているでしょう。自分が求める条件を売りにしている企業を探すと、志望動機が書きやすくなります。
例えば「一人でコツコツ仕事が出来ます!」「チームで意見を言い合いながら仕事を進めます!」などが求人でアピールされていれば、「コツコツと正確に仕事を進めることが好き・向いている・経験がある」「チームで意見を出し合いながらプロジェクトを進めた経験がある・チームリーダーをしていた」などと話が広げられるでしょう。
ある程度の使い回しをする
複数の企業に同じ志望動機を使うするのは避けるべきですが、応募先は履歴書を共有しません。特に同じ業種・職種の企業に複数応募する場合は、ある程度志望動機を使いまわしても良いでしょう。
ただし応募先の魅力点については、必ず各企業の特色を取り入れるようにしてください。
まとめ
履歴書の志望動機は簡潔かつ分かりやすいものが求められ、長文で熱意を伝えることは出来ません。しかし履歴書全体の印象を左右する重要なアピールポイントです。
初めは作成に時間がかかってしまうかもしれませんが、採用担当者に直接自分の意向を伝えられる限られた機会であると考え、魅力ある志望動機が書けるようにしましょう。