ニートの方は、仕事をせずに過ごしていた空白の期間が存在するため、「就職活動用の履歴書が書きにくい」「空白期間がない応募者よりも不利になるのでは?」と感じることがあるようです。
実際に、職務経歴に理由が明らかではない空白期間がある履歴書によくない印象を持つ採用担当者もいることでしょう。
しかし、ニートの空白期間がネガティブな印象にならないように工夫すれば、ニートの方の履歴書から受けるイメージは大きく変わります。
今回の記事では、ニートの方が履歴書を書く際に知っておくべきポイントをまとめました。
ニート期間のせいで、新しい仕事がスタートできないと考えている方や応募への自信が持てないという方は、ぜひ参考にしてください。
【ニート向け】履歴書を書く前の準備
履歴書を書く前には、次のような事前準備が必要です。十分な準備をすることで、履歴書作成がスムーズに進むようになります。
すぐに履歴書を書き始めるのではなく、十分な準備をしてから履歴書作成をスタートしてください。
履歴書フォーマットの選定を行う
履歴書には、さまざまなフォーマットが存在します。
具体的には、履歴書のフォーマットは学歴欄・職歴欄が広いもの・志望動機や自己PR欄が広いものなどがあります。
応募先から特別な指定がない場合には、自分で履歴書のフォーマットを選択して構いません。
ニート期間が長い方は、学歴・職歴欄は広すぎず、志望動機や自己PRに広いスペースが用意されたものを選ぶべきでしょう。
また、履歴書のフォーマットを手に入れる手段は、店頭で紙の履歴書を購入する・インターネットで履歴書フォーマットをダウンロードする方法の2通りが存在します。
手書きではなくパソコンで履歴書を作りたい時は、ダウンロードしたフォーマットを使ってください。
自分に適した履歴書のフォーマットを選べば、スムーズに履歴書作成を進められるでしょう。
自己分析を行う
自己分析は、履歴書作成前に必ず必要な取り組みです。
自分のことが理解できていなければ、効果的な自己アピールをすることは難しいでしょう。
自分の強みや魅力を再認識するために、しっかり自己分析を行なってください。
また、自己分析を行うことで、自分に適した職業や業務内容が見えてくる可能性もあります。
次のポイントを意識して自己分析を進めると、履歴書に使えるアピールポイントが明らかになります。
・自分が得意とすることは何か
・自分が今できることは何か
・自分は将来何がしたいと考えているか
・これまでの人生の中で印象に残っている出来事
・これまでの人生で特に大変だったことと問題を克服した方法
・自分が努力したこととその結果
自己分析が難しいと感じる方は、家族や友人からの意見を取り入れたり、インターネットで提供されている自己分析ツールを使ったりしてみるとよいでしょう。
企業研究を行う
企業に応募する際には、「自分がなぜ応募先を選んだのか」という理由を明確にするための企業研究が必要です。
企業側は採用した社員に長く働いてもらいたいと考えています。
そのため、応募理由が明確でない応募者は「早く退職してしまうかもしれない」と考え、採用しづらい傾向があるのです。
具体的には、応募先のホームページやSNSなどを確認して、企業の社内風土や特徴を理解しましょう。
また、企業研究を行うことで、応募先が求めている人材も浮き彫りになります。
自分の強みと応募先が求める人材に共通点があれば、そのポイントを積極的にアピールしてください。
【ニート向け】履歴書を作成する際のポイント
ニートの方が履歴書を作成する際には、以下の点を意識してください。
ポイントを把握した上で履歴書を作れば、質が高いものに仕上げられるでしょう。
嘘をつかない
ニートの方は、職歴の空白期間にコンプレックスを感じやすいものですが、嘘をついて空白期間を短くしたり消したりしてはいけません。
それは、履歴書の嘘や誇張表現が、経歴詐称に該当するためです。
入社後に経歴詐称の事実が明らかになった場合、懲戒解雇になる可能性もあります。
履歴書の印象を変えるための努力は必要ですが、嘘を書かないことが大前提だと考えましょう。
自分の職歴や学歴に自信が持てないという方も、嘘や誇張表現を使わずに、正直な履歴書を作るようにしてください。
履歴書を使い回さない
履歴書作成には多くの時間や労力が必要なものですが、履歴書を複数の応募先に使い回してはいけません。
それは、履歴書の記入日が早すぎたり、履歴書が使い古された感じになっている状態では、採用担当者に悪い印象を与えてしまうためです。
また、使い回された履歴書は、志望動機・自己PRが応募先に適した内容にならず、採用担当者に志望度が低いと感じられてしまう可能性もあります。
履歴書は必ず、応募先ごとに作り直すようにしてください。
履歴書作成の手間や労力を最小限に抑えたいと考えている方は、手書きではなくパソコンで履歴書を作成することをおすすめします。
パソコンで作成した履歴書も、内容を応募先に合わせて変更する必要がありますが、基本情報や学歴・職歴などの部分は変更せずに使いまわせます。
そのため、一度にいくつもの応募先に履歴書を提出する方は、パソコンでの履歴書作成を考えるとよいでしょう。
自己PR・志望動機欄でアピールする
ニートの方の中には、職歴がない方もいるでしょう。
履歴書に書ける職歴がない場合には、自己PRや志望動機で応募への熱意を伝えてください。
それは、自分の魅力を履歴書で伝えられれば、職歴がない方でも採用担当者に好印象を持ってもらうことができるためです。
具体的には、学生時代の経験・これまで努力してきたこと・将来の目標などをアピールするとよいでしょう。
提出前に第三者にチェックしてもらう
履歴書に誤字・脱字・表現の間違いがあると、採用担当者に悪い印象を与える可能性があります。
そのため、履歴書を作成した後は、自分でチェックをするだけでなく、家族や友人などの第三者に内容を確認してもらいましょう。
第三者の目であれば、自分が何度読んでも見つけられなかったミスが見つかることがあります。
また、客観的なアドバイスをもらって履歴書の内容を見直すこともできるでしょう。
知り合いに履歴書を見られるのが恥ずかしいと感じる方は、転職エージェントの履歴書添削サービスを活用するのもおすすめです。
転職エージェントであれば、プロの目線で効果的な履歴書作成の方法を教えてくれます。
【ニート向け】履歴書の書き方
この章では、ニートの方向けの履歴書の書き方を項目別に詳しく説明します。
基本事項
履歴書の基本事項には、自分の氏名・生年月日・住所・連絡先などの情報を書いていきます。
氏名欄・住所欄の振り仮名は、「ふりがな」と記載された履歴書には平仮名、「フリガナ」と書かれた履歴書にはカタカナで振ってください。
また、住所は略さずに建物名まで書く必要があります。
生年月日は、和暦・西暦のどちらでも構いませんが、履歴書全体で年月日の書き方を統一してください。
学歴
学歴欄は最初に「学歴」と記載して、次の行から自分の学歴を書いていきます。
学歴は高校入学から記載するのが一般的です。
ただし、中学校卒業後にニート生活を送っていた方や学歴・職歴が少ない方は、中学校卒業から学歴を書き始めるとよいでしょう。
中退や高卒認定の場合も、必ず履歴書の学歴欄に明記してください。なお、中退の学歴には「経済的な事情により退学」など簡潔な説明を加えまましょう。
また、学歴の学校名は省略せず、「〇〇県立〇〇高等学校 入学」のような書き方をしてください。
職歴
最後の学歴の次の行に「職歴」と記載し、職歴を書き始めます。
職歴は、「株式会社〇〇 入社」と書いた後に配属先の部署を説明してください。
退職の理由は、簡潔に「一身上の都合により退職」と書けば問題ありません。
正社員の職歴がない方は、派遣社員・アルバイトの経歴を書いてください。
アルバイトやパートの職歴は「株式会社〇〇(店舗名など) 入社(アルバイト)」のように、雇用形態を明確にするべきでしょう。
アルバイト・パート経験も含めて職歴がない方は、職歴欄に「なし」と書いてください。
空欄の職歴を提出すると「記入漏れかもしれない」と思われる可能性があるためです。
職歴を書き終えた後には、一行下の右端に「以上」と書いて締めくくります。
自己PR
自己PRは自分の強みや適性をアピールするための項目です。特に職歴が少ない・職歴がない方は自己PRに力を入れるべきでしょう。
自分がどのような人間であるかを明らかにし、会社に貢献できるPRポイントを伝えてください。
説得力がある自己PRを書くためには、具体的なエピソードを加えることが大切です。
自己PRの根拠が明らかであれば、採用担当者はその内容に納得できるでしょう。
自己PRの例文
私には、相手が求めていることを探る能力があると思っています。
以前働いていた飲食店のホールでも、相手が求めることは何かを常に考え、お客様が快適に過ごせる時間を提供するための努力を続けました。具体的には、お客様の表情や食事に進み具合を常に意識しながら業務を進めることで、「今お客様が欲しいもの」が見えてくるようになったのです。
結果的に私の接客は多くのお客様から高評価をいただき、5年の間ホールリーダーを任されました。
前職退職後は自己分析をしながら自分の夢について考えたところ、やはり自分の強みを活かせる仕事は接客業だと再認識しました。
入社後は、これまでの経験や自分の強みを活かして貴社に貢献したいと思っています。
志望動機
世の中には数えきれないほどの求人が存在します。その中から応募先を選んだ理由を明らかにする項目が志望動機です。
志望に対しての熱意が採用担当者に伝われば、職歴の空白期間をカバーできる履歴書になるでしょう。
具体的には、「なぜ応募を決めたのか」「なぜ応募先で働きたいと考えているのか」を具体的に説明してください。
この際、「すごく」や「とても」などの抽象的な表現は避けましょう。
適した志望動機が思い浮かばないという方は、インターネットで例文を検索して参考にすることをおすすめします。
志望動機の例文
私は貴社の商品に強い思い入れがあります。
特に(商品名)シリーズを長年愛用しており、他社にはない商品だと実感しています。
前職退職後の空白期間に貴社の創業者である〇〇様が執筆した「〇〇〇〇」を読み、商品への思い入れやビジネスについての考え方に感銘を受けました。
今回、貴社の求人を拝見した時に、自分も(商品名)の販売・製造に携わる側に立ちたいと考え、応募させていただきました。
本人希望欄
本人希望欄には、就業に関する特別な要望がない限り、「貴社の規定に従います」と記入してください。
この段階で、給与や待遇の希望を書くことは控えるべきです。
ただし、介護や持病などやむを得ない事情で勤務先を限定したい・業務を制限したい場合には、希望とともに簡潔な説明を書きましょう。
ニートの空白期間をネガティブに印象付けないコツ
職歴の空白期間をそのまま書くと、採用担当者に悪い印象を与える可能性があります。
そのため、空白期間の印象をポジティブなものに変える工夫が大切です。
空白期間中に勉強したことを書く
ニートの方が履歴書の空白期間に勉強をしていた場合には、その内容を自己PR欄に記載しましょう。
語学・資格の勉強など、資格取得まで至っていないものでも構いません。
最近勉強を始めたばかりの場合でも、「空白の期間に何もしていなかった」と感じられるよりもずっとよい印象になります。
特に、応募先の業務に関係が深い勉強内容であれば、ニート期間が有効に働く可能性があるでしょう。
空白期間中に取得した資格を書く
ニートの空白期間に取得した資格がある方は、免許・資格欄にその事実を書いてください。
資格取得に向けて時間を使っていたことが明らかになれば、「努力ができる人材・成果を出せる人材」として評価される可能性が高まるでしょう。
ニートの空白期間について質問された場合の回答例
書類選考が通り面接で、ニートの空白期間に関する質問をされた時には、次のような回答をするとよいでしょう。
空白期間に関係する質問を受けても、慌てずに受け答えができる準備をしておいてください。
空白期間が短い場合
ニートの空白期間が半年以内の場合には、次のような回答ができます。
「〇〇業界で働きたいと考え、業界の研究を行っていました」
空白期間が半年未満の場合は、就職活動の時間にあてていたとしても自然でしょう。
ただし、面接の場で具体的な活動内容を聞かれた時のために、実際に何をしていたのか説明できるようにしておいてください。
空白期間が長い場合
ニートの空白期間が半年以上の長期にわたる場合には、次のような説明が有効的でしょう。
「経理の仕事をするために、日商簿記2級取得に向けて勉強していました」(実際に取得した場合にはその旨も記載する)
「自分のスキルを磨くために、ハローワークの職業訓練に通っていました」
「英語力を伸ばしたいと考え、オンラインで英語を学習していました」
空白期間が長い場合でも、就業意欲の高さのアピールによりネガティブな印象を変えられる可能性があります。
さらに、ニートの空白期間が何年にも及ぶ場合は、「空白期間が長くなってしまった理由をきちんと伝えること」「今後自分がどう変わりたいと考えているかをアピールすること」が大切です。
病気や怪我で働けなかった場合
病気や怪我が理由で働けない期間があった方は、その事実を明らかにしてください。
さらに、今後は問題なく仕事ができるのか・通院や入院は必要なのか・注意するべき症状があるのかを具体的に伝えてください。
企業側が感じる「体調の問題ですぐ辞めてしまうのでは?」という不安も少なくできるでしょう。
病気や怪我で働けなかった場合の例文は以下を参考にしてください。
「病気のために仕事ができない状態が続いていましたが治療と療養により完治し、これからは問題なく仕事ができます。」
まとめ
ニートの空白期間が気になって、魅力的な求人があっても応募できない・履歴書をどう書いてよいのか分からないと感じてしまう方がいるようです。